2012年04月01日

『危険な関係』

Dangerou_Liaisons.jpg 【評価】  点
 【原題】Dangerous Poisons
 【製作】1988年 米 作品賞ノミネート
 【監督】スティーヴン・フリアーズ
 【配役】メルトイユ侯爵夫人/グレン・クローズ
     ヴァルモン子爵/ジョン・マルコヴィッチ
     トウールヴエル夫人/ミシェル・ファイファー
     セシル/ユマ・サーマン

【あらすじ】
 18世紀。フランス革命前夜のパリの貴族社会。人々は贅の限りを尽くした甘美な暮らしに酔いしれ、それぞれの快楽を追い求めていた。そんな社交界の大輪として君臨するメルトイユ侯爵夫人は、彼女の恋人バスティード伯爵が若い娘と結婚するらしいという噂を耳にしたことから、かつての愛人であり、社交界きってのドンファンとして名高いヴァルモン子爵を使って、当のボランジュ夫人の娘である美しき処女セシルの純潔を踏みにじろうとする…。

【批評】緩慢な貴族どもの遊び
 他にすることがない貴族たちの遊びという一言で片付けられてしまうテーマを、映画としてストーリーだてて見せています。冷静に考えれば、こいつら何やってんの?という言葉しか思い浮かびませんが、それは言わない約束…。
さて、映画の方はというと、これが思いのほか楽しめました。メルトイユ侯爵夫人とヴァルモン子爵の悪巧み(人を騙して、人の大切にしている純血を踏みにじる。理由は、言ってみれば退屈だからか。)は、最初に“私はこうする”と目的が明示されるので、それがどのように達成されるのか非常に興味を持って中だるみすることなく観る事ができます。
しかし、その過程がやや???で、何故、あの高潔で貞淑なトウールヴエル未亡人が、ヴァルモン子爵に心がなびいたのかが、理解できません。それがきっちり明示されているわけでもなく、そこの過程がこの映画の中で一番重要なのに、おやふやなまま進んでいったことが残念でなりませんでした。
ラスト、当初の目的を全て達成したはずのメルトイユ侯爵夫人の発狂振りの原因は、実はまだ気のあるヴァルモン子爵が予定外に死んだことでしょうか、それともそのヴァルモン子爵が最期にトウールヴエル夫人に永遠の愛を語って死んだことでしょうか。恐らく後者でしょう。
トウールヴエル夫人を演じたミシェル・ファイファーの美しさには脱帽。高潔で貞淑な女性という設定は、はまり役ではなかったでしょうか。ずっと興味を持って観れたのは、彼女の存在おかげかも知れません。

posted by あつを at 16:15 | TrackBack(0) | 6点(惜しい!あと一工夫) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月31日

『マイ・レフトフット』

My_Left_Foot.jpg 【評価】  点
 【原題】My Left Foot
 【製作】1989年 アイルランド 作品賞ノミネート
 【監督】ジム・シェリダン
 【配役】クリスティ/ダニエル・デイ=ルイス 主演男優賞
     ミセス・ブラウン/ブレンダ・フリッカー 助演女優賞
     アイリーン/フィオナ・ショウ
     ミスター・ブラウン/レイ・マカナリー

【あらすじ】
 重度の脳性小児麻痺により植物人間同様の生活を余儀なくされているクリスティが、不断の努力により、わずかに動く左足を使い絵を描けるようになるまで成長していく姿を描く。

【批評】母の偉大なる愛
 映画自体は短いのに、なぜか長く感じてしまった、僕には少し退屈な映画でした。役者の演技は素晴らしく、さすがだなぁなんてずっと思っていました。主人公のクリスティの映画というよりは、なんとなく、その子供を育ててずっと見守ってきた母親の映画という感じがしてなりません。クリスティが初めて恋心を抱いたときも、結果的に傷つくであろう息子を心配していた姿や、クリスティが小さい頃から、彼の車椅子を買える様にずっとブリキ缶に貯金をしてきた姿などが、とても印象的でした。母親の愛は偉大だ、そう思わずにはいられませんでした。
アメリカ映画のように、激しく皆が罵り合い、感情をぶつけあうようなシーンもさほどなく、あってもたかが知れているので、少し変化に乏しく思うのかもしれません。ですが、兄弟家族に加え、近所の子供達もみんな、クリスティを仲間と思い接しているのが、とても微笑ましかったです。
ラスト、看護婦とのメリーとのくだりは、なんだか唐突感があって、ちょっと付いていけませんでした。あの控え室だけの出会いで、そういう展開になるなんて、これじゃまるで誰でも好きになる男みたいで…。
なんだか、盛り上がりに欠けた退屈な映画でした。ですが、母親の愛の偉大さを知るには十分な映画でもありました。

posted by あつを at 21:46 | TrackBack(0) | 4点(大幅な改善必要) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月25日

『サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方』

The_Prince_of_Tides.jpg 【評価】  点
 【原題】The Prince of Tides
 【製作】1991年 米 作品賞ノミネート
 【監督】バーブラ・ストライサンド
 【配役】トム/ニック・ノルティ
     スーザン/バーブラ・ストライサンド
     ライラ/ケイト・ネリガン
     サリー/ブライス・ダナー

【あらすじ】
 自殺未遂をした姉を見舞った男が精神分析医と出逢う。自殺の原因が幼年期にあると考える彼女は、彼に協力を求めるが…。

【批評】焦点の定まらない映画
 なんだか、すごい邦題になってしまっていますが、この時代は“愛と…の”という映画タイトルがやたらと流行っていた時期です。それにしても…とは思う酷い邦題です。
さて、映画の中身ですが、なんだか焦点の定まらない映画です。原作を忠実に再現しようとして、あれもこれもと詰め込み失敗した感があります。言いたいことがたくさんあるプレゼンは結局は誰の印象にも残らないのと同様、せっかくいい素材があるのに、え?そっちの方向にいっちゃう?といった形で話が本題からそれていき、なんだか興ざめしてしまいました。
幼少時代のトラウマといった、非常にヘビーな題材をとりあげているのですが、恋愛映画???みたいな展開になり、とてもがっかりです。また、トムについては、もっと自分の妻と向き合う場面が見たかった。結局、最初から最後までまともに話し合ったシーンはないのだから。
オープニングのサウスキャロライナの美しい景色から、期待感は高まっていたのですが、がっかりな出来で残念でした。


posted by あつを at 23:27 | TrackBack(0) | 5点(もう少し頑張れ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ソルジャー・ストーリー』

A_Soldier's_Story.jpg 【評価】  点
 【原題】A Soldier's Story
 【製作】1984年 米 作品賞ノミネート
 【監督】ノーマン・ジュイソン
 【配役】ダヴェンポート/ハワード・E・ロリンズ・Jr
     ウォーターズ/アドルフ・シーザー
     ウィルキー/アート・エヴァンス
     ピーターソン/デンゼル・ワシントン

【あらすじ】
 ルイジアナの陸軍基地で嫌われ者の黒人軍曹が殺害された。ところが調査のために本部から派遣されて来たのは黒人のエリート大尉だった。黒人と黒人の対立の中で、次第に人種差別の問題が明らかになっていく…。

【批評】本当の敵は、身内にあり
 白人は黒人を見下し、黒人は白人を憎む、そんな構図が全ての人の頭にあった時代の話です。
監督が、あの『夜の大捜査線』と同じで、どことなく舞台や作風もそれに似ています。そのせいか、あまり新鮮味を持って観ることはできませんでした。
物語は、証言に基づいて少しずつ明かされていくという流れなのですが、巧妙なトリックが隠されているわけでもなく、ただストーリーをなぞっているだけという感は否めません。
この映画を観ながら感じていたのですが、軍隊ほど、自分の上官がどんな人物かによって、自分の人生、いや生死が左右される現場ってないよなということです。軍隊ほどリーダーシップが必要な現場はないと思います。そう考えると、サラリーマンなんて甘いなと思って気が楽になります。命まではとられませんから。
全ての原因は差別にあると思われていた時代が、少しずつ変わってきたんだという実感をこの映画で得ることができます。特にラストの車上での黒人大尉と白人大佐の会話はそれを象徴しています。登場人物の誰もが黒人と白人の対立という先入観で初期判断してしまっていますが、頭のいい真犯人はそれも見越して行動を起こすのですから恐ろしいものです…。
最後に、若かりし頃のデンゼル・ワシントンが好演しています。ファン必見です。

posted by あつを at 20:03 | TrackBack(0) | 5点(もう少し頑張れ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月24日

『ミザリー』

Misery.jpg 【評価】  点
 【原題】Misery
 【製作】1990年 米
 【監督】ロブ・ライナー
 【配役】ポール/ジェームズ・カーン
     アニー/キャシー・ベイツ 主演女優賞
     マルシア/ローレン・バコール
     バスター/リチャード・ファーンズワース

【あらすじ】
 雪山で事故に遭遇したベストセラー作家を助け出したファン。身動きの取れない作家は彼女のロッジで看護を受けるが、次第に彼女の狂気が浮かび上がってくる…。

【批評】い、痛い…!!
 上映当時、いろいろと話題になった作品です。
まあ、安心して楽しめる(?)映画ですね。特段、変わったことや奇抜なアイデア、驚くべきストーリー展開があるわけではありません。密室の中で、作家と気違い女の戦い、化かしあいが展開されます。
アニーの切れっぷりが尋常ではなく、この映画はそれを楽しむという一言に尽きます。途中、あまりにも痛々しいシーンが待っています。思わず目を背けてしまうほど、衝撃的です。
さて、この映画を観ながらずっと考えていたのですが、彼女は(精神的な)病気なのでしょうか?病気だとしたら、可愛そうでもあるなぁと思って。自分自身は頑張っていると思っているのに、それが世間から報われない。普通の人間は、そこで色々と考えて、耐性をつけていって、大人になっていくのだけど、彼女はそれができなかったんですね。世の中と違うものは排除するという社会では困るけれど、このような殺人鬼が普通にいる世の中も困ってしまう。どうしたらいいんでしょうかねぇ…。

posted by あつを at 21:13 | TrackBack(0) | 6点(惜しい!あと一工夫) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『テルマ&ルイーズ』

Thelma_and_Louise.jpg 【評価】  点
 【原題】Thelma & Louise
 【製作】1991年 米
 【監督】リドリー・スコット
 【配役】ルイーズ/スーザン・サランドン
     テルマ/ジーナ・デイヴィス
     ジミー/マイケル・マドセン
     JD/ブラッド・ピット

【あらすじ】
 平凡な主婦テルマが、友人のウェイトレス、ルイーズと共にドライブに出かけた。途中のドライブインで、テルマが見知らぬ男たちにレイプされそうになった時、ルイーズは男たちを射殺してしまう。二人はそのまま銀行強盗をして逃避行に移るが…。

【批評】壮絶なラストシーン
 抑圧された女性2人のロードムービーです。
トラブルを次々と巻き起こしているのは、自分たちにも原因があるということは突っ込んではいけないところだし、最初の段階でとっとと自首しておけばいいのに…というのも、自首してしまえば映画にならのいので、これも野暮な話ですね。
この映画を、可愛そうな日常を送っている女性達の解放だ、と思えばそうなのですが、僕はあまり男性・女性と分けて考えるのは好きなほうではなく(あくまでお互いに人間としてどう考えるか、がモットーなので)、そういう視点でこの映画を観ることはできませんでした。
結局、みんな自分勝手だよな、と思うんです。もちろん、テルマの夫は無茶苦茶自分勝手、その他出てくる男達も、主任刑事を除いてみんな自分勝手。そして、テルマとルイーズも自分勝手。自分勝手な人たちが集まれば、トラブルにしかならないよな。責任を全て自分以外に求める姿勢も、行き過ぎている気がしてしまう。なんだか、この映画を観てすっきりしたというよりは、アメリカの行き過ぎた自己主義をまざまざと見せ付けられた感じです。自分の行動が、どれだけ周囲に迷惑をかけているのか、みんな考えた方がいい。
かといって、映画が面白くないわけではありません。生き生きとしたテルマとルイーズを観るのは楽しくもありました。ラストは壮絶ですが、これはちょっと綺麗すぎるかな。
蛇足ですが、ブラピファンは必見。若かりし頃のまだ線の細いセクシーな彼が見れますよ。

posted by あつを at 18:26 | TrackBack(0) | 7点(合格点) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』

Scent_of_A_Woman.jpg 【評価】  点
 【原題】Scent of A Woman
 【製作】1992年 米 作品賞ノミネート
 【監督】マーティン・ブレスト
 【配役】フランク/アル・パチーノ 主演男優賞
     チャーリー/クリス・オドネル
     トラスク/ジェームズ・レブホーン
     ドナ/ガブリエル・アンウォー

【あらすじ】
 全寮制の名門ハイスクール、ベアード校の奨学生チャーリーは、アルバイトで盲目の退役軍人フランクの世話を頼まれた。バイトの初日、チャーリーはフランクに無理矢理ニューヨークへの旅に同行させられることになり、一流ホテルや高級レストランを使うその超豪華な旅に仰天した。フランクはこの旅の最後に自殺すると平然と語り始める。

【批評】人生の進むべき道を教えてくれる映画
 映画ラストのフランクの演説シーンは鳥肌ものです。とっても、とってもいい映画です。この映画を通じて、色々なことを悩んでいる自分を見つめなおす機会にもなりました。これからも、人生に悩んだときに観直して見たい、そんな素晴らしい映画です。
そもそも、フランクが非常に魅力的な人物で、内に秘めた優しさを持っているから、姪っ子は退役軍人の施設からひきとったわけですよね。人間を本当に見抜く力を持っている人はどんな言葉を投げかけられてもフランクに惹かれるし、人間の表面的な部分しかみない人はフランクを敬遠するし…。僕も人を第一印象で決めつけ、好き嫌いを早急に判断してしまうタイプの人間ですが、この映画をみてそれでは駄目だと痛感しました。また、人間って面白いなと思いました。
フランクがドナとタンゴを踊るシーン、素敵でした。フランクがフェラーリを運転するシーン、人生を楽しめるかどうかって自分次第なんだと思いました。チャーリーは覚えていたんですね、フランクがNY行きの飛行機の中で、女性の次に好きなのはイタリアのスポーツカーだって言ってたこと。
そもそも、この映画のタイトル、素晴らしいです。目が見えないフランクの視点のタイトルですね。この映画は、女性への賛美も込められていると思います。
チャーリーは目の見えないフランクに、正しい方角を教え、フランクはチャーリーに人生の歩むべき正しい道を教えた。この対比が凄くいい。
信念を持ち、それを曲げるな。僕も今から頑張ろうと思います。


posted by あつを at 02:30 | TrackBack(0) | 8点(大満足!) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月23日

『ザ・ウォーカー』

The_Book_of_ELI.jpg 【評価】  点
 【原題】The Book of ELI
 【製作】2010年 米
 【監督】ザ・ヒューズ・ブラザーズ
 【配役】イーライ/デンゼル・ワシントン
     カーネギー/ゲイリー・オールドマン
     ソラーラ/ミラ・クニス
     レッドリッジ/レイ・スティーヴンソン

【あらすじ】
 イーライという名の謎の男は、崩壊したアメリカ大陸の荒野を西に向かって歩き続けていた。ある本を携えて。その本は、いまや世界にこのただ一冊となっていた。イーライは、その本に近づこうとする者は容赦なく斬り捨てた。そんな中、とある町に立ち寄ったイーライ。そこは、カーネギーという男が独裁者として君臨する町。彼は、ある本を探していた。その本があれば世界を支配できると考えていた。やがて、イーライの本こそが、目的の本だと確信するカーネギーだったが…。

【批評】キリスト教万歳!な映画
 まあ、頭も使わず、なんとなく観れる映画です。しかしこの映画に意味を見出そうとしても、欠点が多すぎて無駄です。気軽に娯楽映画として観るのが一番でしょう。
世界観は、マンガだと北斗の拳、映画だとマッドマックス、ゲームだとFALL OUT 3、そのままです。戦争により人類の多くが滅んだ後に、主人公がとある目的を持ってとある本を運んでいるといった内容です。雰囲気はいいです。ですが、キリスト教が絡んでくると、なんだか一気に興ざめしてしまいます。こんな映画を観たいわけではない、むしろ、北斗の拳を見たいんだ!!といった欲求にかられました。とある本も、普通に考えれば、あの本だと分かります。
前半はその世界観にすごく興味を持ってみていたのに、なんだか描写不足(主人公の背景がよく分からない)で、ラストは「はいはい」と言いたくなる説教くさい映画です。そんな人があんなに人殺しをしちゃいかんぜ!と言いたい。

posted by あつを at 22:13 | TrackBack(0) | 5点(もう少し頑張れ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月20日

『レナードの朝』

Awakenings.jpg 【評価】  点
 【原題】Awakenings
 【製作】1990年 米 作品賞ノミネート
 【監督】ペニー・マーシャル
 【配役】レナード/ロバート・デ・ニーロ
     セイヤー/ロビン・ウィリアムス
     エレノア/ジュリー・カヴナー
     ミセス・ロウ/ルース・ネルソン

【あらすじ】
 1969年ブロンクス。30年間昏睡状態だった男レナードが、奇跡的に意識を回復した。セイヤー博士の治療が功を奏したのだ。博士はその治療を、他の患者にも適用してめざましい効果をあげるが…。

【批評】悲しい結末も、彼が人生の素晴らしさを気づかせてくれる
 鑑賞し終えた後の余韻がなんともいえず、心地よい感動に包まれました。
悲しい結末ですが、悲しさだけではない、レナードへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。彼が、人生の素晴らしさを気づかせてくれて、そして今の自分の人生へ感謝する気持ちを思い起こさせてくれました。文句なしの名作です。これが実話だとは、なんとも悲しすぎますが…。
薬を投用され、奇跡的に意識を回復したレナードですが、回復した後の彼を見ていると、自分の周りにある何気ないもの、些細なもの、あたりまえのものが、実はいかに大切なものだったのかを気づかされます。それは、何気ない物であり、人とのつながりであり、そこにある自然であり…。
ひと夏の奇跡、いわれてみれば確かにそうですが、レナードを始め彼ら患者たちが残してくれたものを大切にして、これからの人生を悔いのないように生きよう、そう思わせてくれます。彼らの結末は確かに悲しいかもしれないけれど、彼らの残してくれたものを大切にしていきたい、強くそう思ったのです。この映画は、観る人にそういった気持ちを起こさせてくれます。
自分のしたことは間違っていたのだろうか、彼らに夢をみさせて結局それを奪ってしまったことは、本当に正しかったのだろうか、そう悩むセイヤー博士に対して、かけてあげる言葉が見つかりません。彼の苦悩を察すると、そう簡単に言葉がみつかりません。彼を心から尊敬し、支えてきたエレノアの存在がこのときは特に大きく見えました。
ラストシーン、セイヤー博士が助手のエレノアを誘うシーンは、感動で涙が止まりませんでした。人生って、そういうことだよな、そう思いました。その時その時を感謝して、精一杯生きていかないと、彼らに申し訳がたたないと強く思いました。
久しぶりに心を震わせるいい映画に出会えたな、そう思いました。

posted by あつを at 10:30 | TrackBack(0) | 8点(大満足!) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月10日

『フォーガットン』

The_Forgotten.jpg 【評価】  点
 【原題】The Forgotten
 【製作】2004年 米
 【監督】ジョセフ・ルーベン
 【配役】テリー/ジュリアン・ムーア
     アッシュ/ドミニク・ウエスト
     マンス/ゲイリー・シニーズ
     ポープ/アルフレ・ウッダード

【あらすじ】
 11人の死亡が確認された悲惨な飛行機事故で9歳になる一人息子サムを亡くした母親テリー。それから14ヵ月たったいまでもテリーは立ち直れずに、サムの思い出に浸るだけの毎日を送っていた。そんなある日、テリーは夫と息子と3人で撮った記念写真からサムだけが消えているのを見つけ困惑する。異変はさらに続き、大切なアルバムからも、そしてビデオテープからもサムが消えてしまっていた。動揺するテリーに精神科医は、“息子など最初から存在しなかった”と告げるのだった。ショックを受けるテリーは、サムの存在を証明しようと躍起になるのだったが…。

【批評】恥ずかしいカタカナ英語の邦題
 観始めたときは、まるでM・ナイト・シャマラン監督の名作『シックスセンス』や『サイン』のような雰囲気を持った映画かなと思いました。しかし、その期待は見事に裏切られ、実に質の低い、ストーリーの底も浅い映画でした。
とにかく、先が読める展開、強引な展開のオンパレードです。ストーリー的にも、何故“彼ら”はそんな実験をしたかったの?という、根本的なところが、映画が終わっても何も分からず、ストレスが溜まります。
車が衝突したときの音や、人が家屋ごと連れ去られるシーンだとかは、大音量でビクッとします。眠気が一気に覚めますが、そんな脅し的な仕掛けでもないと、退屈で観てられません。
テリーに共感できないところも、この映画を好きになれないところです。彼女は、自分勝手に振舞い続けます。そうすることで、息子を取り戻す必死さをあらわしているつもりなのでしょうが、ただただワガママな女にしか見えず、むしろ人間らしさが感じられません。息子を愛する強い母を表現しようとしているのですが、この態度・姿勢が本当に気にいりません。
あと、この邦題は本当に恥ずかしい。何?このカタカナ英語。こんなカタカナどおりの発音する人なんていないよ。配給会社のレベルの低さがよく分かります。
悪い事尽くめの、テキトーな映画でした。

posted by あつを at 17:40 | TrackBack(0) | 4点(大幅な改善必要) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『シングルマン』

A_Single_Man.jpg 【評価】  点
 【原題】A Single Man
 【製作】2009年 米
 【監督】トム・フォード
 【配役】ジョージ/コリン・ファース
     チャーリー/ジュリアン・ムーア
     ジム/マシュー・グード
     ケニー/ニコラス・ホルト

【あらすじ】
 1962年、ロサンゼルス。大学教授のジョージは、16年間共に暮らしたパートナー、ジムを交通事故でなくして以来、8ヶ月に渡り悲嘆に暮れていた。そして今日、その悲しみを断ち切り、人生に終止符を打とうと決意する。身の回りを整理し、最期を迎える準備を進めていくジョージだったが、大学ではめずらしく自らの信条を熱く語り、ウンザリしていた隣家の少女との会話に喜びを感じ、かつての恋人で今は親友の女性チャーリーと思い出を語らい合うなど、その日は些細な出来事がいつもと少し違って見えるのだった。そして一日の終わりを迎えようとしていたジョージだったが、そんな彼の前に教え子のケニーが現われ…。

【批評】生理的に受け付けられない、映像美のみの中身スカスカ映画
 監督は、有名ブランドのファッションデザイナーです。映画をファッションの延長とでも考えているのでしょうか?こいつ、映像美を追求しているな?というような場面が多く、その魂胆があからさまで嫌になります。
また、主人公のジョージはゲイです。ゲイ目線で見た映像が数多くあり、つまり男性の色々なところに興味、視線がいっているというような映像です。これは、生理的に全く受け付けられません。
映画に期待することって、人それぞれあるでしょうが、いずれにしても、きとんと夢を見させて欲しいものです。ファッション雑誌の動画版を見たくて、映画を観るわけではありません。

posted by あつを at 03:12 | TrackBack(0) | 2点(観るだけ時間の無駄) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月05日

『フローズン・リバー』

Frozen_River.jpg 【評価】  点
 【原題】Frozen River
 【製作】2008年 米
 【監督】コートニー・ハント
 【配役】レイ/メリッサ・レオ
     ライラ/ミスティ・アッパム
     TJ/チャーリー・マクダーモット
     ジャック/マーク・ブーン・ジュニア

【あらすじ】
 カナダ国境近く、先住民モホーク族の保留地を抱えるニューヨーク州最北部の町。クリスマスも間近のある日、新居の購入費用をギャンブル依存症の夫に持ち逃げされた白人女性レイは、取り残された2人の子どもたちと共に途方に暮れていた。そんな中、夫の車を発見するが、運転していたのはモホーク族の女性。ライラと名乗る彼女は、車を盗んだのではなく拾ったと主張する。また、ライラも夫に先立たれたあと、幼い子どもを義理の母に奪われる辛い境遇を背負っていた。そんな彼女は、いつの日か子どもを引き取り一緒に暮らす夢を実現させるべく、車で凍ったセントローレンス川を渡り、カナダから不法移民を1人当たり1200ドルでアメリカ側に密入国させるという危険な裏の仕事に手を染めていたのだった。そして、その夜も裏の仕事で車が必要だったライラは、レイの事情を知ると共犯パートナーとして引き入れることに。人種の違いから始めは反発し合っていた2人は徐々に信頼関係を築き、無事に仕事を成功させるのだが…。

【批評】貧困、貧困、貧困…。
 この映画を観ていてずっと頭から離れない言葉、それは“貧困”です。貧しいという辛さが、これでもかと伝わってきます。人間、欲を言うときりがないですが、これらの家族を見ていると、今の自分がいかに幸せかを思い知らされます。
貧しいということは、本当に辛い。貧しさ故に、人は犯罪をおかす。貧しくなければ、誰だってこんな危ない橋は渡らない。それを強く感じます。
映画自体は、ドキュメントフィルムかのごとく、淡々と進んでいきます。大きな山場があるわけではありません。時間も1時間半程度と短いため、淡々とした展開もさほど苦痛ではありません。
物語に目を向けると、レイに選択肢はなかったでしょう。途中で危険な橋(川?)を渡ることを辞めれば、より貧しい生活しか待っていない。子供たちのために、よりよい生活を手に入れたい、そう願うレイの行動を、誰が非難できましょうか?きれいごとだけでは生きていけない現実が、この映画では待っています。長男のTJも、観ていて可愛そうなぐらい、貧しさにじっと耐えています。彼も貧しさ故に、罪を犯します。
世界中の貧困が無くなればいいのに、と思いますが、資本主義である以上、貧富の差は必ず生まれます。それよりも、自分が生まれ育った環境からすでに差は生まれています。やるせない現実です。生活の底辺を送って耐えている人が多くいることを肝に銘じ、自分の幸福に感謝したいと思いました。
最後に、子供を思う母親の気持ちって、世界で一番美しいと思いました。
posted by あつを at 01:17 | TrackBack(0) | 6点(惜しい!あと一工夫) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月04日

『ハンニバル』

Hannibal.jpg 【評価】  点
 【原題】Hannibal
 【製作】2000年 米
 【監督】リドリー・スコット
 【配役】レクター/アンソニー・ホプキンス
     クラリス/ジュリアン・ムーア
     ポール/レイ・リオッタ
     バーニー/フランキー・フェイゾン

【あらすじ】
 猟奇殺人鬼バッファロー・ビル事件のヒントを新米捜査官クラリスに解き、事件を解決に導いたハンニバル・レクター博士。護送中に逃亡を測った彼が、10年たった今、フィレンツェに潜伏していることが確認された。逃亡生活を続けながらクラリスの動向に注目していたレクターだが、かつて自分によって顔を失ってしまった大富豪が、クラリスをエサに自分の命を狙っていることを知る。そんな事を知らないクラリスは、レクターを逮捕するため、彼のもとへ向かうのだが、そこで彼女を待ちうけていたものは…。

【批評】この荘厳で残酷な雰囲気、嫌いじゃないです
 『羊たちの沈黙』から始まったレクター博士三部作の二作目(製作順)にあたり、最終章(シリーズ順)でもあります。個人的に、僕は三部作の中では、この作品のタッチが一番好きです。
また、前作で作品賞にも輝いた『羊たちの沈黙』の完全な続編のため、悲しいかな前作との比較の中で皆が感じることがあります。それは、クラリス役がジョディ・フォスターではなく、ジュリアン・ムーアであること。
正直、ジュリアン・ムーアでは物足りないですし、クラリス役が前作に引き続いてジョディ・フォスターなら、更に作品のグレードがあがったことは想像に難くありません。基本的に、ジョディはその演技、いや存在自体が巨大な緊張感です。観ている側を極度の緊張状態に置けるのが、ジョディの長所です。ですが、それは考えないことにしましょう。
その問題点以外に前作との比較の中で感じることは、とにもかくにもグロテスクな場面が増えたこと。前作では、観ている側に“想像をさせる”ことによって緊張感を演出していましたが、この作品では、直接的に血や臓物を見せる事により映画の雰囲気をつくりだしています。これは大きな違いです。
また、僕がこの作品を評価する点は、前作と違い、レクターの所業が映画の中心になっていることです。前作は、別の殺人鬼を追っている中で、クラリスがレクターの助言を聞きながら、犯人を追い詰めていくという流れでした。今作では、レクター博士の所業が思う存分楽しめます。また、クラリスとレクターとの関係がより深化していくところも大きな見所になっています。
とかく、グロテスクな場面(特にラストの晩餐シーンは、観るのに耐えられない人もいると思います…)が多く、そのことばかりが話題にのぼっていますが、それ以外にもレクターの威光をうまく表現した、秀作だと思います。前作を楽しめた人には、キャスティングの問題さえ気にしないのであれば、十分に楽しめる作りになっていると思います。
ラストシーンでの、レクターと子供とのやりとりで感じたことですが、子供は大人から“好奇心を持つことはいいことだ”と教わりますが、その究極の形は、レクター博士なのではないでしょうか…。そしてそれは人間の誰もが持つ本質のようにも思いました。
映画としては、既述のとおり嫌いなタッチではないですが、ネタばれ的な要素も多く、何度も楽しめる映画ではないようにも思いました。

posted by あつを at 23:09 | TrackBack(0) | 6点(惜しい!あと一工夫) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月26日

『ヒア アフター』

Hereafter.jpg 【評価】  点
 【原題】Hereafter
 【製作】2010年 米
 【監督】クリント・イーストウッド
 【配役】ジョージ/マット・デイモン
     マリー/セシル・ドゥ・フランス
     マーカス/フランキー・マクラレン
     ジェイソン/ジョージ・マクラレン

【あらすじ】
 パリのジャーナリスト、マリーは、恋人と東南アジアでのバカンスを楽しんでいた。だがそのさなか、津波に襲われ、九死に一生を得る。それ以来、死の淵を彷徨っていた時に見た不思議な光景(ビジョン)が忘れられないマリーは、そのビジョンが何たるかを追究しようと独自に調査を始めるのだった。サンフランシスコ。かつて霊能者として活躍したジョージ。今では自らその能力と距離を置き、工場で働いていた。しかし、好意を寄せていた女性との間に図らずも霊能力が介在してしまい、2人は離ればなれに。ロンドンに暮らす双子の少年ジェイソンとマーカス。ある日、突然の交通事故で兄ジェイソンがこの世を去ってしまう。もう一度兄と話したいと願うマーカスは霊能者を訪ね歩き、やがてジョージの古いウェブサイトに行き着く。そんな中、それぞれの事情でロンドンにやって来るジョージとマリー。こうして、3人の人生は引き寄せ合うように交錯していくこととなるが…。

【批評】津波映像が凄い!…だけ
 大好きな監督の新作ということで、大いに期待して観ましたが、残念ながら、その期待は裏切られました。本作品が、賞レースに全くと言って絡まなかったのも、観た後の感想としては、至極当然といわざるを得ないです。
オープニングの津波の映像は、3.11の記憶がまだ浅い中、かなり衝撃的です。この衝撃は、『プライベート・ライアン』のオープニングで展開される、ノルマンディー上陸作戦の映像並みに、強烈に目に焼きつきます。
ですが、これだけです。後は3つのストーリーが淡々と進んでいきます。最後、やや強引に結びついていきますが、特に起承転結もなく“淡々と”です。
ラストシーン、自分の殻に閉じこもっていたジョージが、少し、自分の未来についての空想をマリーに対して抱くシーンが、この映画の数少ない希望にも感じました。
しかし、どうしたんだろう、クリント・イーストウッド監督。もうさすがに高齢なのかなぁ。昔の『許されざる者』や『ミリオンダラー・ベイビー』のような切れのある作品を作るのは難しくなってきているのかなぁ…。

posted by あつを at 10:30 | TrackBack(0) | 3点(暇ならどうぞ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『キッズ・オールライト』

The_Kids_Are_All_Right.jpg 【評価】  点
 【原題】The Kids are All Right
 【製作】2010年 米 作品賞ノミネート
 【監督】リサ・チョロデンコ
 【配役】ニック/アニット・ベニング
     ジュールス/ジュリアン・ムーア
     ジョニ/ミア・ワシコウスカ
     ポール/マーク・ラファロ

【あらすじ】
 ニックとジュールスはレズビアンのカップル。結婚している2人には18歳になる娘ジョニと15歳の息子レイザーがおり、郊外の一軒家で仲良く暮らしていた。そんな中、年頃のレイザーは、母親たちに精子を提供した“父親”の存在が気になり始める。そして、母親たちが喜ばないと尻込みするジョニをたきつけて、2人で父親捜しを始めることに。するとやがて、人気レストランのオーナーを務めるポールという男性が生物学上の父親であることが判明する。気ままな独身生活を送る気さくなポールにすんなりと打ち解けてゆくジョニとレイザー。一方、子どもたちがポールと会っていることを知ったニックとジュールスは、事態を穏便に終息させようと、ポールを食事会に招くことにするのだが…。

【批評】家族は努力して作り上げていくもの
 いい映画でした。レズビアンのカップルとその子供達という特殊な家族を描いているので、とってもキワモノ系かと思って観ていたのですが、ごくごく普通の家族のあり方を描いた映画だと思います。ニックを男性と置き換えてみると、なんてことはない、そこらにある家族と一緒なのです。ニックは、「相手には家庭を守って欲しい」なんて深層心理で思っているなんて、男性以上に男性的です。
ニックに限らず、人物描写がよくできているなと思いました。登場人物は限られていますが、みんな個性があり、思っていることがあり、それぞれに悩みを持っています。家族4人の中では、一番脇役的なレイザーも、実は、あまり深く考えず、直感的に気になることだけを聞く、そんな人物として描かれているけど、だからこそ、あのラストの一言が活きるのです!
描かれてはいないけど、この夫婦(?)も苦労して、色々なことを他の通常の夫婦よりも努力して、ここまでの家族を築いてきたんだろうな。そんなことを思って観ていると、家族を守るって、本当に努力して勝ち取るもんなんだと、改めて思い知らされました。
ポール、とっても良い人だったのに、あんなことで関係が切れてしまうなんて、とても残念でした。登場人物、悪い人なんていませんが(レイザーの友達ぐらい)、最後に家族4人とポールを隔てたもの、それは“責任感”なんだと思います。家族を努力して守って勝ち取ってきた人と、今まで家族も持たず自分の好きに生きてきた人間との行動の差が、でたということなのでしょう(重ね重ね、ポールは残念ですが…)。
既述ですが、ラストシーンの車のレイザーの一言、良かったです。この映画の中で一番“クール”な一言でした。家族っていいな、素直にそう思いました。

posted by あつを at 01:36 | TrackBack(0) | 8点(大満足!) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする